日本画初心者のことはじめ(1)胡粉(ごふん)の用途と使い方について

日本画を描く際に、胡粉(ごふん)は、マストな画材の一つです。
使い方に、ちょっとした癖(?)があるので、まとめてみました。

1 胡粉(ごふん)とは

胡粉は、日本画で使われる、簡単に言えば白絵具です。
原料はホタテなどの貝殻で、それを粉末にしたものです。

現在、各メーカーからいろいろな商品が出ています。

高いものほど質が良いそうです。

質が良い悪いっていうのは、どういうことかと言うと、
良くないものにが、不純物が混じっていて、
美しい白でないと言われますが、
私が経験したところでは、
通常の画材屋さんで売っている胡粉で、
不純物が混じっていたという事はありません。

昔と違って、
製造過程で品質が保たれているのでしょう。

ので、まずは一番安いものから始められても
特に問題はありません。

2 胡粉の用途(使い道)

用途としては、現在の現代日本画では、
白絵具として使うほかに、
盛り上げとして、安価なので下地材的に使います。

(歴史的な絵などで
金の盛り上げでレリーフ的な模様が描かれているのは、
金で盛り上げてなくて、
金箔の下には、胡粉が盛り上げられています)

今回の記事では、岩絵の具で描く際、
和紙への補強的な役割で使う方法をまとめますね。

にじみ止めのドーサが引かれた和紙の上に、
和紙の補強として一旦、
ざっと幅広の刷毛(はけ)で塗ります。

または、墨(すみ)書き
(下絵をトレースしたのを墨で描き起こす=輪郭線など)
を描いた後、
その上に塗ることもあります。

絵として、墨書きの線をしっかりと残したい場合は、
胡粉はその下へ、
墨書きは見えなくなっていい(厚塗りする)なら、
上へということです。

私は厚塗りの画風なので、
墨書きの上に胡粉を塗ります。

3 胡粉団子(ごふんだんご)の作り方

胡粉の質が良くなってきたと言っても、
やはり丁寧に乳鉢ですり潰して
粒子を整えておく事は必要です。
(薄く塗った際にダマになってたりとかしてしまうのでは
折角の絵が台無しになりますよね。)

乳鉢の下で固まってしまいやすので、
よく混ぜていきましょう。

人によっては、乳鉢に直接、
膠(にかわ)水を入れて、団子にしない方もいます。

私は、絵皿にすり鉢から胡粉の粉末を移し替えて、
そこに少しずつ膠を入て指先でこねていきます。

利き手の中指で、粉末の上に垂らした膠をこねます。
(人差し指を汚さずにおくと、
匙(さじ)の柄がつまみやすく、
また、人差し指を中指の上に重ねると
力が足されて楽ですヨ。)

30号ぐらいの紙面にざっと塗るためなら、
直径2㎝程度の大きさの
胡粉団子にまとめられればいいですね。
(乳鉢に粉末を残しておくと、
膠を入れすぎて固まらなくなったら
粉末を追加できるのでいいですよ。)

膠(10パーセント以下)は、
匙(さじ)で2杯余りでいいと思いますが、
いろいろ試してください。

ちなみに、胡粉はそれだけでは
紙面などに定着しませんので、
膠という接着剤を混ぜて、絵具にするという訳です。

指についたのも、皿につきまくったのも、
全部まとめて団子にしましょう。

4 胡粉団子の百叩(ひゃくたた)き

より白くするために、
さらに胡粉団子を、皿に何回もたたきつけます。
昔から、「胡粉団子の百叩き」と言われていて、
私は一応、100回たたきつけています。

利き手に胡粉団子、逆の手に大きめの皿を持って、
バシッ!っと

科学的に白くなる説明は、
私にはできませんが、
膠がきっちりと胡粉の間に入り込むということかもしれません。

また、これから描いていく絵の心構えとして、
気持ちを整える、、、
まあ、そういった、ある種のルーティンとも考えています。(?)

5 胡粉団子を水で溶く

胡粉団子を大きめ目の皿に
つぶすように貼り付けます。

少しずつ水を入れて、
指で溶いていきます。

皿の底の塊がなくなるまで、
溶いていきます。

水の量は、最終的に、
スキムミルクぐらいな、
サラッとして感じになればOKです。
牛乳より薄い感じです。

6 下地材として、和紙に刷毛(はけ)で塗る。

幅広の刷毛(はけ)を筆洗で濡らして、
胡粉の皿につけて、
紙面に均質に塗っていきます。

方面に、少しだけ塗った面が重なるように、
直線的に塗っていきます。
それが終われば、にも行います。

重なったところがより白くなりますが、
下地材なので、気にしなくてもいいです。

ただ、どっぷり溜まらない方がいいですね。

和紙が張られたパネルの下には、
新聞紙などを敷いておきましょう。
絶対、周囲へ飛び散ります(私は)。

画風によっては、マチエール的に
多方面に刷毛で塗っていくのもアリでしょう。

また、この胡粉を溶いた液に
(別に膠で溶いた)水干(すいひ)絵具を混ぜて、
下絵として塗分けていくのも、
絵によってはアリです。

胡粉は、乾くと白が強くなって、
下に書かれた墨書きが見えにくく
なってしまうことがあります。

そうならないように、
はじめは薄めにぬってもいいかもしれません。

残った水に溶いた胡粉は、
次に描く水干絵具の調整に使ってもいいので、
捨てないで、乾かしておくとか、
暑いときには冷蔵庫でしばらく保存できます。

膠は腐ると、臭いにおいがしますよ~。
保存剤入りの膠なら、大丈夫かな(防腐剤のにおいでわかります)。

胡粉の使い方は、
明治以前は門外不出の技だったとか言われていますが、
いろんな使い方を試していけるといいですね。

以上、日本画の胡粉の基礎知識(^^♪)でした。